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【坂井瑠星×藤岡佑介】「もうチャレンジャーではない」フォーエバーヤングと挑むドバイWCまでの道のり/第2回

  • 2025年04月02日(水) 18時01分
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“with佑”

▲佑介騎手と坂井瑠星騎手の対談第2回!(撮影:桂伸也)


坂井瑠星騎手と佑介騎手の対談第2回。今回はいよいよ今週末に迫ったドバイワールドカップデーについてお話を聞きました。

フォーエバーヤングとペプチドナイル。ともにGIを制覇したパートナーと挑む大舞台に向けて意気込みを伺うと、決して楽ではなかった過去の苦悩話も飛び出しました。「東京大賞典の前みたいな心境になってきた…(苦笑)」という瑠星騎手の言葉の真意とは──。

前回はこちら▼
【坂井瑠星×藤岡佑介】フォーエバーヤングとのサウジCを徹底解説! 自身が感じる“一番の勝因”とは/第1回

(取材・構成=不破由妃子)

「海外より国内のGIのほうがプレッシャー」


佑介 サウジCを勝ったことはもちろんすごいことなんだけど、瑠星がもっとすごいなと思うのは、フォーエバーヤングを国内で負けさせていないこと。2歳の頃とか、まだ全然頼りないところからスタートして。こう言っちゃなんだけど、当時は牛みたいな(笑)。大きくてズブそうやし、砂は嫌がるし、スタートは遅いしで…。

瑠星 不安でいっぱいでしたよ、当時は。

佑介 “負けられない感”は、国内のレースのほうが大きいもんね。走れば走るほど、周りはそういう見方をしてくるし。でも、そういう状況にあっても、瑠星は負けさせなかった。すごいなと思って見てたよ。

瑠星 プレッシャーという意味では、サウジCよりジャパンダートクラシックと東京大賞典のほうがよっぽど…。正直、めちゃめちゃ嫌でしたよ(苦笑)。ジャパンダートクラシックは水曜日だったんですけど、前の週に競馬場で西村淳也に「1枠やで」って言われて。「どうしよう…」と思いましたもん。

佑介 東京大賞典はまだゲートを出たからよかったけど、ジャパンダートクラシックは、ゲートでちょっと躓いたでしょ? 俺、これは絶対に勝てないなと思った覚えがある。

瑠星 あれはキツかったですねぇ。あのレベルの馬だったら、今は海外より国内のGIのほうがプレッシャーが大きいかもしれないです。

佑介 海外だと、チャレンジの意味のほうが大きくなるもんね。

──瑠星さんは、レモンポップも国内では負けさせなかった。

瑠星 そうですね。レモンポップでの経験がすごく大きいです。

佑介 圧倒的な人気の馬を負けさせないって、すごく難しいことやからね。なぜなら、みんながその馬を中心に競馬をしてくるから。勝負だから当然なんだけど、隙あらば負かしてやろうとか、不利になる展開に持って行ってやろうとか、周りは本当に虎視眈々。そんななかで勝ち続けたわけだから、相当すごいことだよ。

瑠星 レモンポップの存在も大きかったですけど、負けられないレースがずっと続いたなかで、自分でも強くなれたかなという実感はありますね。

“with佑”

▲自分自身の成長も実感(撮影:桂伸也)


「見映えがいい馬とは思わない」のに…


──さて、サウジCで死闘を演じたロマンチックウォリアーは、芝1800mのドバイターフへ。フォーエバーヤングとのドバイでの再戦はないわけですが、あの歴史的名馬の印象をおふたりに伺いたいなと思いまして。瑠星さんは、去年の安田記念でも対戦していますよね(フィアスプライド7着)。

瑠星 そうですね。なんか、すっごくトモの感じが緩そうな馬です。ああ、これが強さの秘密なのかなと思ったりもしますけど。まぁ調教とかはすごいですけどね。行きっぷりもすごい。

佑介 サウジでは、毎日時計になってたって言ってたな。

瑠星 そうです。リードホースを付けて、ポニーも付けて、毎日3頭セットで調教してました。大変そうでしたよ。

佑介 俺も見映えがいい馬だと思ったことはないなぁ。でも、ピッチがめっちゃ速い。それでいて中距離も走るし。

瑠星 ゲートセンスもあるし。とにかくものすごく脚が速いですよ。ああいう馬、乗ってみたいです。乗ったらまた印象が変わるのかもしれないし。とにかく、とんでもなく強い馬ですよ、あの馬。

佑介 脚が速いだけではなく、気持ちも強そうだよね。香港でどうやって調教してるんだろ…。そもそも坂路がないのに、定期的に1600mまでの化け物みたいな馬が出てくるもんなぁ。

瑠星 どういう調教をしているのか、僕も気になります。少し前のゴールデンシックスティもそうですけど、去年の香港スプリントを勝ったカーインライジングも、めちゃくちゃ強いですからね。

“with佑”

▲サウジCでマッチレースを演じたフォーエバーヤングとロマンチックウォリアー(撮影:高橋正和)


──世界に出るということは、そういう化け物たちと戦っていかなきゃならない。ところで、佑介さんは今回が初のドバイですよね。

佑介 初めてです。

──ゴドルフィンマイルのコースは、ペプチドナイルに

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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