“大人の娯楽”という印象が強い競馬。そんなイメージからは全く想像できない新しい施設が、京都競馬場に誕生した。その名は「Paka Run!(パ
カラン)」。遊具や遊ぶための環境を提供する事業を展開しているボーネルンド社が
プロデュースした、屋内の無料大型遊び場で20日に本格オープンする。
660平方メートルの解放感あふれる空間は、遊び方の異なる4つのエリア(パークエリア、
アクティブエリア、
イマジネーションエリア、ベビーエリア)に分かれている。年齢や興味に応じた遊び方が可能で、楽しく体を動かすことも、疲れたら本を読んだり、おもちゃで遊んだりもできる。
1回40分の入れ替え制(10、11、12、13、14、15時スタートの計6回)で、1組5人まで上限20組が利用可能。生後6カ月から12歳までが対象で、私が取材した内覧会では、幅広い世代の子どもたちが夢中になっている姿が印象的だった。
驚いたのは、施設内には競馬中継やオッズを映すモニターが一切なく、レースを見ることができないこと。場内実況も入り口近くに漏れ聞こえてくる程度だった。奥に行けば、ほぼ聞こえることはない。完全に子どもの遊び場に特化した空間。なぜ、こうした形になったのか?京都競馬場の山本大輔お客様課長補佐が理由を教えてくれた。
「モニターがあると、どうしてもレースが気になりますからね。あえて取り付けず、お子さまやご家族で安全に楽しんでもらえる場所にしたいという考えからです」
馬券を買う方も、買わない方も、「Paka Run!」にいる間は、子どもを中心として家族と楽しむ時間に。私のように馬券を買う人間は、予想のリズムが良くない場合など、一度流れや気持ちを
リセットできる貴重なスペースだと感じた(個人の感想です)。子どものいる世の競馬好きの方々は、家族を誘って競馬場に出掛けるきっかけにもなりそうだ。
内覧会に招待された家族の一人である、京都市在住の男性(白川さん)に話を聞かせてもらったが、「私自身、競馬は全くしないんですが、桂にあるボーネルンドの施設(ガタゴト)には行かせてもらっていて。子どもも遊び慣れていて楽しんでくれていますね。競馬場はすごくきれいですし、ポニーとも触れ合えたり、子ども向けのイ
ベントがあったり、いろんな経験をさせてあげられますから。ぜひまた来たいです」と大満足の様子だった。競馬を知らない人にも十分、魅力的なスペースとなっている。
JRAは十数年前から「UMAJO(ウマジョ)」という取り組みをスタートし、女性を
ターゲットにしたサービスを拡充して新たなファンの獲得に成功している。こうした子どもが楽しめる施設が増えることは、競馬をしない子育て世代の親や祖父母が競馬場に足を運ぶきっかけとなり、ファンの裾野を広げられる可能性がある。子どもたちが成長して競馬を好きになってくれれば、将来にもつながる。
現在、JRAの競馬場に同様の施設は、中山に「うまキッズルーム」があるとのことだが、関西では初。「京都が成功すれば、こうした取り組みはさらに加速していくと思います。競馬の魅力に触れていただくためにも、まずは現地に来ていただくことが大事ですからね。その一つの
ステップになれば」と山本お客様課長補佐。競馬場イ
ベント参加アプリ(https://jra‐fun.jp/sanka‐app/)から受付可能(要予約)で、施設の利用は無料(競馬開催時は競馬場の入場料が必要)。子育て世代の皆さんは、ぜひ京都競馬場で新たな魅力に触れてみてほしい。(デイリースポーツ・大西修平)
提供:デイリースポーツ