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松本好雄氏挑む 一目ぼれメイショウタバルと皐月賞 「浜中君」に全幅の信頼 メイショウサムソンの騎手・石橋師と

デイリースポーツ
  • 2024年04月09日(火) 06時00分
 「皐月賞・G1」(14日、中山)

 「メイショウ」の冠名で知られる馬主で、大型総合金属加工メーカー「株式会社きしろ」代表取締役会長の松本好雄氏(86)が、牡馬クラシック第1冠の皐月賞・G1(14日・中山)を前に、デイリースポーツのインタビューに応じた。2006年にメイショウサムソンで制した思い出のレースに今年は、毎日杯覇者メイショウタバルを送り込む。その愛馬とのエピソードや、管理する石橋守調教師(57)=栗東、手綱を任せる浜中俊騎手(35)=栗東・フリー=への思いを語った。

 -今年は毎日杯を制したメイショウタバル皐月賞へ。その前走は逃げて驚きの6馬身差V。

 「テレビで見ていました。この馬は運がないなと思っていたので、生産者と一緒に見ようと北海道に行っていたんです。強いと思っていた1番人気の川田君の馬(ノーブルロジャー)が2番手にいましたし、負けるかなぁと。ところが、最後は着差は分からなかったですけど、叫んでばっかりいましたね。あとでビデオを見ると、強い馬だなと改めて思いました」

 -ここまでの道のりは順風満帆ではなかった。

 「あの馬は一頓挫、二頓挫ありましたからね。でも、自分ではものすごく楽しみにしていた馬なんですよ。3戦目の未勝利戦の勝ちっぷりで、この馬は強いんじゃないかなと。これは楽しめるなと思っていたら、(若駒Sで)スタート前に競走除外になったでしょ。次のつばき賞を勝ってスプリングSを楽しみにしていたら、今度はフレグモーネになって回避」

 -それでも、目標を切り替えた毎日杯を圧勝。

 「毎日杯を勝った後に(北海道の三嶋)牧場へ行ったら、牧場で世話をする人から『会長はすごいな』って言われました。『なんでや』と聞いたら、『会長のイチ推しの馬でしたよ』と。忘れていたんだけどね(笑)」

 -出会いは一目ぼれ。

 「放牧に出した母馬と子馬が夕方、一緒に(馬房に)帰ってくる風景が好きで、いつもずっと見ているんですが、ある時、1頭が目についたんですよ。それがタバルで。母馬と一緒にこっちに来てもらって、それでいい馬だなぁと。『もらうから』と言ったそうです」

 -縁があって石橋厩舎に入ることに。

 「この馬いいなぁ、(石橋)守のところにやらせよう、と自分で思っていました。それを三嶋さんや牧場のみんなが知っていて決めたんじゃないですか。三嶋さんのところの馬を(毎年)10頭ぐらいもらうんですが、(どこの厩舎に預けるか)僕は自分で決めたことがないので。詳しい経緯はあまり知らないですけどね」

 -石橋厩舎にとって、毎日杯が重賞初制覇。

 「先日、土曜日のレース終わりにこちらに来ましたけど、喜んでいましたね。毎日杯を勝った後は(皐月賞に)行くという話はしなかったですけど、『行くんだろう』って聞いたら、浜中でよろしいか、と。(毎日杯で騎乗した)坂井君は先約があったようですし、もともと浜中君が乗っていましたからね」

 -コンビを組んで2戦2勝。浜中騎手にはどんな印象を。

 「僕は大好きなジョッキーですよ。若い頃は乗れていましたからね。それからしばらく(成績面で)鳴りを潜めていましたが、縁があって(メイショウ)ハリオに乗るようになって。(昨年の)フェブラリーSではスタートでつまずいたけど、あのしがみつき方を見た(武)豊君が、僕でも落ちているっていうんですよ。あの子の執念はすごいって。最後は3着まで追い込んできて、すごかったです。その後は、かしわ記念帝王賞を勝ちましたからね。いい競馬をしていると思いますよ」

 -石橋師とは騎手時代から、メイショウサムソンのコンビなどで親交が深い。

 「武豊君や河内君(現調教師)の陰に隠れていましたけど、いぶし銀で大好きな騎手でしたね。馬券では随分と損をしましたけど(笑)。サムソンとの出会いがあって、彼は調教師になろうと思ったんですよ。すごく勉強したと言っていました」

 -会長の言葉で「人がいて、馬がいて、そしてまた人がいる」がありますが、石橋師との縁を感じますね。

 「本当にそう思いますよ。彼の場合は特にね。苦労人ですから。結果的に僕との相性も良く、調教師になってからも一生懸命やってもらっています」

 -サムソンで06年皐月賞&ダービーを制した騎手が調教師となり、一緒にクラシックに挑む。思うところもあるのでは。

 「ちょっと出来過ぎですね。馬主をやればやるほど、クラシックに出ることの難しさを感じてます。タバルにはサムソンと同じコースを行ってほしいと願っていたので、人生終盤に来て、こういう馬に巡り会えたのはうれしいです」

 -縁のある調教師と騎手で参戦するクラシック第1章。抱負を。

 「守ちゃんにとっても、巡ってきた一つの大舞台ですから。浜中君も気持ちを持ってくれているようですし、うれしいです。どの枠順に入って、どんな競馬になるのかはまだ分からないですが、脚質的にも楽しみは多いですね。調教師は頼りないからね(笑)。あとは浜中君任せです。彼はしっかりしているから大丈夫でしょう(笑)」

 ◆松本好雄(まつもと・よしお)1938年1月6日生まれ、86歳。兵庫県出身。陸、海、空の大型総合金属加工メーカー「株式会社きしろ」代表取締役会長。74年に日本中央競馬会に馬主登録。「メイショウ」の冠名で皐月賞、ダービー、天皇賞春秋連覇を果たしたメイショウサムソンや、オークス秋華賞エリザベス女王杯を制したメイショウマンボなど、多くの活躍馬を送り出している。日本馬主協会連合会名誉会長、中央競馬馬主相互会会長。

提供:デイリースポーツ

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