名手とともに桜道を駆け抜けた。「第84回
桜花賞」が7日、阪神競馬場で行われた。2番人気
ステレンボッシュが昨年12月の阪神JFと同じ舞台でラ
イバル・
アスコリピチェーノを撃破。G1で重賞初勝利、牝馬クラシック1冠目を制した。鞍上のジョアン・モレイラ(40=ブラジル)は前日の
阪神牝馬Sに続く重賞V。
JRA・G1は18年
エリザベス女王杯以来となる2勝目。管理する
国枝栄師(68)は現役調教師最多となる
桜花賞3勝目を飾った。5着
エトヴプレまでに
オークス(5月19日、東京)への優先出走権が与えられる。
マジックマンが魅せた。
ステレンボッシュを勝利に導いたモレイラは検量室前で国枝師と抱き合った。そして首筋を何度も何度も
ポンポン。相棒をねぎらった。初コンビで即、満開へ導いた。
スタートで約1馬身のビハインド。名手は慌てない。中団の馬群で折り合いをピタッとつけた。「スタートは速くなかったが、満足のいくポジションを取ることができた」と納得の表情。勝負どころで手綱が激しく動く。瞬時の
ギアチェンジ。ラ
イバルの2歳女王
アスコリピチェーノは直線入り口で外の進路取り。その内から瞬く間に差を広げた。急坂を駆け上がっても脚色は衰えない。G1初制覇のゴールへ飛び込んだ。
幾多の大レースを制した名手が賛辞を贈る。「返し馬から落ち着いていた。道中もスムーズに運べた。直線の手応えが良く、先頭に立ってからも素晴らしい脚。プロフェッショナル」と称えた。短期免許を取得して、6日から騎乗を開始。土曜の
阪神牝馬Sで即、重賞勝ち。土日メインジャックを決めた。最初の週からリズムは
マックス。今回の短期免許取得期間は6月5日まで。モレイラの魔法に魅了される日々は続く。
管理する国枝師は現役調教師最多となる
桜花賞3勝目の
メモリアル。牝馬3冠に輝いた10年
アパパネ、18年
アーモンドアイに続いた。牝馬の仕上げに定評がある名伯楽は「あの2頭に比べても手応えは同等のものがある」と偉大な先輩を引き合いに出した。1冠目でラ
イバルを撃破。「ジョッキーが外へ出して理想的な競馬。うまく導いてくれたね」と手綱さばきを称えた。
前走の阪神JFは
アスコリピチェーノに首差2着と惜敗。「(前走は)負けたけど、スムーズに立ち回ればチャンスはあると思っていた」と前向きだった。近年の“好走トレンド”でもある関東馬の栗東トレセン入厩。前走同様に、栗東仕上げを踏襲した。先輩
アパパネもこのパターンで
桜花賞V。栗東滞在のノウハウを知り尽くす指揮官は「(栗東では)周りに一緒に滞在していた関東馬がいてくれたことが大きかった」と感謝を口にした。
次なるステージは
オークス。一気800メートルの距離延長、2400メートルは3歳牝馬に過酷な条件だ。鞍上が「
リラックスしているので距離は大丈夫」と言えば、トレーナーも「馬体や落ち着きを見ても(
オークスは)全く問題ない」と見解が一致した。府中へ継がれる夢。偉大な先輩の背中を追いかけ、2冠制覇へチャレンジする。
◆
ステレンボッシュ 父
エピファネイア 母ブルークランズ(母の父
ルーラーシップ)21年2月12日生まれ 牝3歳 美浦・国枝厩舎所属 馬主・吉田勝己氏 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績5戦3勝(重賞初勝利) 総獲得賞金2億1546万8000円 馬名の由来は南アフリカの都市名。
スポニチ