「
桜花賞・S1」(27日、浦和)
まさにドラマだ。現役最後の重賞挑戦となった岡田一師が送り出した3番人気の
プリンセスアリーが、直線で力強く抜け出して重賞初制覇。牝馬クラシック1冠目を奪取した。「
関東オークス・Jpn2」(6月12日・川崎)への優先出走権も獲得した。2着に6番人気の
パペッティア、3着に2番人気の
ミチノアンジュが入り、上位3頭には「
東京プリンセス賞・S1」(4月25日・大井)への優先出走権が与えられた。1番人気の
ミスカッレーラは大幅な馬体減も響き、5着と伸びを欠いた。
残り100メートル。逃げ粘る
ミチノアンジュを外からかわした
プリンセスアリーが、“不思議な力”に導かれるようにグイッとひと伸び。外から追い詰めた
パペッティアの追撃を1馬身封じ込めた。
濃い目のピンクのワイシャツに、枠番を意識した鮮やかな水色ネクタイで臨んだ岡田一師にとって“まさか”の勝利だった。「3着があればと思ってたら…ビックリ。森(泰斗)ジョッキーのおかげ」とテン乗りで大仕事を決めた鞍上に感謝だ。
この道60年。今月いっぱいで引退するトレーナーにとって、地元の
桜花賞は因縁でもあった。3年前に前哨戦の
ユングフラウ賞を勝った
ウワサノシブコは、ケガで出走がかなわなかった。「(今回は)その分もだね。小さいけど根性のある馬。これからも頑張ってほしい」と、2冠目へ向けてエール。
生まれ故郷の群馬県・高崎に戻り余生を送る。「岡一男」の名でテレビのカラオケ大会などで数多くの優勝を経験。キャンピングカーでの日本一周も計画中。「思いっ切り歌いたいね」と、目を細めて笑い飛ばした。
提供:デイリースポーツ