羽田盃(4月24日・大井)と
東京ダービー(6月5日・大井)のJpn1化と、
ジャパンダートダービーの
ジャパンダートクラシック(10月2日・大井)改称と秋移設により、南関東の3冠路線だった3競走が中央、地方の枠を超えた「ダート3冠」として創設された。改革元年となるダート新体系の現状に迫る。
20日に
京浜盃(大井)が終了。今年から新たに生まれ変わった3歳ダート3冠ロードは、1冠目の
羽田盃へ向けて勢力図がほぼ整った。
中心は前哨戦をリードしてきたJRA勢。
羽田盃に与えられたJRA出走枠は4つ。2月の
雲取賞を逃げ切った
ブルーサン、同2着の白毛馬
アマンテビアンコ。
京浜盃で2、3着の牝馬
アンモシエラと
ハビレが優先出走権を獲得。いずれも出走意思を示しており、4頭の首位争いが濃厚だ。
迎え撃つ地方勢だが、
京浜盃で7馬身差Vの
サントノーレにレース後、右膝骨折が判明。離脱となったのはあまりにも痛い。
ハイセイコー記念を無傷5連勝で圧倒した
ダテノショウグンも復帰に手間取っている現状だ。
京浜盃5着の
ティントレットと6着の
マッシャーブルムに上積みを期待することになる。
中央&
地方競馬の交流競走が設けられ、開放元年と言われた95年から四半世紀以上が経過。“芝は中央、ダートの地方”を確立しようと3歳戦を中心にダート
グレード競走の改革が行われた。その目玉が3歳ダート3冠ロード。1着賞金も大幅にアップし、
羽田盃、
東京ダービーはJRA勢が出走可能に。7月に行われていた
ジャパンダートダービーは、秋に
ジャパンダートクラシックと名称変更して実施されることになった。
ただ、南関東の厩舎関係者は、全員がこの改革を手放しで喜んでいるわけではない。「さみしいねぇ」、「南関の馬が
東京ダービーを勝つことはなくなったよ」、「もう自分たちの仕事は終わった」と諦めに近い感想が相次いだ。暗い気持ちで取材を続けていると「JRAに負けない馬をつくればいい」と息巻く関係者も。思わずうなずいた。「その通り!」だと。
今週末の
ドバイゴールデンシャヒーン・G1(30日・UAEメイダン)には兵庫の
イグナイター(22、23年NAR
年度代表馬)が参戦する。地方所属馬のドバイ遠征は05年
アジュディミツオー(船橋、ワールドC6着)以来2度目のこと。
ライデンリーダー、
メイセイオペラ、
コスモバルク…“打倒JRA”を掲げ、恵まれたJRAとは違った限られた施設&厳しいルールの中で、それぞれが工夫を凝らし懸命に戦ってきた歴史、空気を幾度も間近で感じてきた。挑戦しなければチャンスはない。
東京ダービーのJRA枠は同じく4頭。
羽田盃5着以内の上位3頭に加え、ユニコーンS2着以内の上位1頭に優先出走権が与えられる。新たな試みは、これからが本番。まずは
羽田盃。順当にJRA勢か、地方所属馬の大逆襲か。いよいよ、歴史の一ページが開かれる。(デイリースポーツ・村上英明)
提供:デイリースポーツ